編集後記:「父親達の星条旗」を見て

金曜日にクリント・イーストウッド監督の「父親達の星条旗」を見に行ってきました。我が家から歩いて10分の場所には、硫黄島記念碑があり、これは映画の中にも出てくるスポットです。もう何年も前の話ですが、「セービング・プライベート・ライアン」が公開された際、ドイツ人の友人らが「あまりにドイツ兵が非人間的に描かれている」と話していたのを覚えています。「パール・ハーバー」公開時には、ハリウッドによって作られるステレオタイプをテーマに、映画関係者に取材した事もありました。そんなわけで、実際に映画が始まるまで、その内容に期待と不安が入り混じった感情を抱いていたのですが、一言で言うと「ぜひ劇場で見てほしい秀作」でした。イーストウッド監督は80年代に海兵隊のグレナダ侵攻を描いた好戦映画を監督して全米の笑い者になった過去がありますが、今回の作品は同じ監督が作ったとは思えないほど、よくできた人間ドラマになっていました。

第二次世界大戦中、アメリカでも多くのアスリートが兵役につきました。レッド・ソックスファンの間ではテッド・ウィリアムズの話が有名ですよね。第二次世界大戦と朝鮮戦争の2つの戦争で、ウィリアムズはVMF-311と呼ばれる海兵隊の航空部隊でパイロットとして活動しています。余談ですが、同じ部隊にはのちに宇宙飛行士となるジョン・グレン氏も配属されていました。ウィリアムズはやがて「国のために戦うスーパースター」として祭り上げられ、僕がボストンで過ごした90年代後半にはアンティークの店でウィリアムズ版G.I.ジョーが売られているほどでした。イーストウッド監督の映画の中の主人公達のように、ウィリアムズもまた「戦時下のヒーロー」と称えられた時期がありましたが、彼は本心で何を思っていたのでしょうか?

Written by Hirofumi Nakano